酸素を運搬する働き
鉄とは、必須ミネラルのひとつで赤血球を構成する成分です。
肺で受け取った酸素を全身へ運び、不要な二酸化炭素を肺で放出する重要な働きを赤血球はしています。
赤血球の中にはヘモグロビンというタンパク質が存在し、このヘモグロビンが酸素と結合することで、赤血球が酸素を運ぶための受け皿となります。

筋収縮に関与する
持久力に関わる筋肉『赤色筋肉』に存在するミオグロビン。鉄はこの成分の材料になります。
ミオグロビンが血液中の酸素を細胞内に取り込むことによって、筋肉が収縮します。
鉄が不足してしまうと筋肉に酸素を取り込めず、筋力低下や疲労感といった症状の原因となります。
体内の代謝にかかわる
鉄はいろいろな酵素を活性化したり、酵素の構成成分になったりして、エネルギー産生、神経伝達、コラーゲンの合成などにかかわっています。
貯蔵鉄として貯蔵される
使われなかった鉄は貯蔵鉄であるフェリチンに変えられ、体内に蓄えられます。
一時的な鉄不足になると、蓄えられたフェリチンが分解されてヘモグロビンやミオグロビンの材料になります。
肝臓での解毒作用に関与
肝細胞に入り込んだ有毒物質を排出してくれる酵素『シトクロムP450』。
鉄はこの酵素を活性化させる重要な成分です。
日本人女性が1日に必要な鉄分の量は11mgとされていますが、多く30~39歳の女性は平均7mg程しか摂取できていないと、厚生労働省は『平成21年国民健康・栄養調査結果の概要』で発表しています。
ただでさえ毎月の生理により沢山の鉄分を失っている女性は、鉄不足に陥りやすく、本人は気づいていなくても『隠れ鉄分不足』の女性は意外と多いのです。
鉄の食事摂取基準(mg/ 日)
男 性
年 齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
18〜29(歳) | 6.0 | 7.0 |
30〜49(歳) | 6.5 | 7.5 |
50〜69(歳) | 6.0 | 7.0 |
女 性 (月経なし)
年 齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
18〜29(歳) | 5.0 | 6.0 |
30〜49(歳) | 5.5 | 6.5 |
30〜49(歳) | 5.5 | 6.5 |
妊婦(付加量) 初期・中期・末期 |
+2. 0 +12. 5 |
+2. 5 +15. 0 |
女 性 (月経あり)
年 齢 | 推定平均必要量 | 推奨量 |
18〜29(歳) | 8.5 | 10.0 |
30〜49(歳) | 9.0 | 11.0 |
50〜69(歳) | 9.0 | 11.0 |
鉄不足になると・・・
冷え性や肩こり、頭痛も・・・

鉄不足になると体中の細胞に十分に酸素を送れなくなるため、酸素不足に陥ります。
少しの運動で動悸や息切れが起こり心臓への負担が大きくなる他、脳も酸素不足になり『頭が重い』『頭痛』や『体のだるさ』など様々な症状が現れます。
新陳代謝も悪くなっているため『冷え性』や『肩こり』の原因にも。
『眠りが浅い』『寝付けない』『イライラする』・・・それも鉄不足の可能性があります。

鉄不足になると睡眠や心の安定に作用するドーパミンやセロトニンが減少し睡眠障害や気分障害が起こりやすくなるとされています。
高齢女性に多く見られる”夜中に足がむずむずして寝付けない等の脚の不快感”。「レストレスレッグス症候群」と呼ばれる症状も、鉄分不足やドーパミン不足によって起こりやすくなります。
『眠りが浅い』『寝付けない』『イライラする』などで悩んでいる方は、鉄不足の可能性があります。